人工光型植物工場とは
人工光型植物工場とは、完全に閉鎖された空間の中で、蛍光灯やLEDなどの人工光で野菜を作るシステムです。
■人工光型植物工場の利点
- 気候や天候に関係なく、一年中安定して野菜が作れます。
- 都市部のビルなど、土のない場所、狭い場所でも多段階システムによりたくさんの野菜が作れます。
- その野菜にぴったり合った環境で育てられます。
- 雑草や害虫を防ぐことができ、農薬がいりません。
- 一般生菌を極めて少なくでき、野菜の劣化を抑えます。
- 露地栽培よりも早く育てることができ、連作障害もありません。
- 肥料などを工夫することで、栄養価の高い野菜が作れます。
- 生産従業者として、高齢者や障害者でも従事できます。
■人工光型植物工場のしくみ
人工光型植物工場のほとんどは水耕栽培です。発泡スチロール等のパネルに苗を植え付け、養液に浮かべて栽培します。また、一部で土耕式の植物工場も研究されています。
養液は野菜や成長段階に合わせて、最適な成分に調整します。定期的にpHやECを測定して、養液の追加・交換を行います。これらを自動的に行うシステムもあります。また、栄養豊富な養液の中で菌が増えるのを抑えるため、制菌システムがある場合もあります。
光源は蛍光灯やLEDを使います。LEDでは色を変えることによって、野菜の成長を早くしたり、特定の栄養素を高めたりする研究も進んでいます。
工場内の気温・湿度は、エアコン等で野菜に最適な環境に保たれています。空気清浄機を使用し、菌を極めて少なく抑えています。また、野菜の光合成を促すために、二酸化炭素濃度を高める場合もあります。
作業者は、衣服を完全に覆う作業着を着て、頭髪も帽子で覆い、マスクと手袋、長靴を着用します。さらに粘着テープやエアシャワーで服に付いた埃を取る、粘着マットで靴の汚れを取るなど、工場内に埃やごみを持ち込まないようにします。また、野菜に触れる際はこまめに手を消毒し、清潔に保ちます。
■人工光型植物工場の課題と対策
- 電気を多く使用するため生産コストがかかり、露地物の野菜に比べて値段が高い。
⇒ LEDの開発などにより、消費電力を下げる。また、大規模生産によりコストを下げる。 - 工場を設置する際の設備費用が高い。
⇒ 廃工場や空きビルなど既存の建物を利用し、建設費を下げる。また、補助金を利用する。 - 安全・安心であることや栄養価が高いなどのメリットが謳われているが、本当にそうなのか検証されていない。
⇒ 専門知識をもった第三者が、野菜や生産システムについて評価を行う。(TPAC-PPS) - 植物工場産野菜に対する消費者のイメージが悪い。
⇒ 安全・安心や栄養価が高いなどのメリットをアピールする。第三者の認証を受けることも差別化に繋がる。