Plant Factory

人工光型植物工場

TPAC-PPS評価委員長挨拶

TPAC-PPS人工光型植物工場第三者評価委員会の意義

人工光型植物工場第三者評価委員会
評価委員長 野口伸
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 残留農薬や微生物などによる農産物・食品汚染への懸念が拡大する中、消費者の健康リスクの低減を実現するためには、危害要因による汚染の防止及び危害要因の除去を可能にする措置や技術が必要です。また食の安全に関わるリスクコミュニケーション、食品の流通とリスク管理に関する経済学、倫理学などからのアプローチも今後ますます重要になるでしょう。
 国際的には、Codex委員会が食品衛生規範の規格や、生鮮果実・野菜の衛生規範を公表していますが、日本政府も食品の安全確保を重要な課題と位置づけており、食品の安全と消費者の信頼確保に向けた取組の充実が計られています。
 他方、植物工場は日本政府が進める農商工連携のシンボリックな事業の一つとして近年注目されている食料生産技術です。生産物を計画的かつ安定的に生産・供給できる植物工場は地域の産業振興の観点からも注目されています。
 特に閉鎖環境で太陽光を使わずに環境を制御して植物の周年・計画生産を行う人工光型植物工場は農薬フリーな生産を可能にし、理論的には極めて安全な生産物を消費者に供給できます。また、生産物の栄養成分や機能性成分を安定的に高めることが可能なことも科学的に明らかにされつつあります。
 しかし、植物工場で生産された生産物がすべて本当に安全で安心か、またすべての植物工場が本当に生産システムとして適切に管理・運営されているかについては残念ながら断言できません。この理想と現実のギャップが消費者の不信感を生む根源なのです。
 消費者の不信感を払しょくできる生産物や生産システムの安全性を保証するためには、透明性・公平性・独立性が担保された第三者機関による評価・認証しか方法はありません。この点で、TPAC-PPS人工光型植物工場第三者評価委員会は重責を担っています。
 人工光型植物工場を安全な生産物を生産できるシステムとして社会に認知させ、普及させることができるかどうかはこの第三者評価委員会にかかっているといっても過言でありません。

【略歴】1990年北海道大学大学院農学研究院博士課程修了、農学博士、1990年同大学助手、1997年助教授、2004年教授
【現職】北海道大学大学院農学研究院教授、日本学術会議会員、日本生物環境工学会長
【専門】生物環境工学
【主な著書】「農業ロボット(I), (II)」コロナ社
【主な仕事】食料生産の自動化・ロボット化、農業情報工学など